千尋がトンネルを抜け、赤い橋を渡り、急階段を駆け降りてボイラー室までやって来たことの象徴的な意味は何でしょうか?暗いトンネルとくれば、連想するのは「子宮」にいたる「膣」となるかもしれません。これを母胎回帰という意味合いで千尋の行動を読んでいくと、「一度死んで新たに再生する」という母胎回帰願望を意味しているように思います。千尋が釜爺のところで釜の中に石炭を投げ入れたこと、それは単に石炭を釜の火の中に入れたことを意味するのではなくて、千尋自身の命を投げ入れたことを意味しているのかもしれません。つまり、千尋はここで一度死んでいるのです。そして一度、死んだ千尋がどのように再生していくのか、そのプロセスを追っていくことが「千と千尋の神隠し」の展開となっていくように思います。これは、トトロの都市伝説にあるように「地獄巡り」と同義になってくるのではないでしょうか?そして、千尋の成長を仕事の現場から手助けするのが、お姉さん役のリンです。リンは油屋の従業員ですが、なぜリンがここにいるのかは最後まで分かりません。いずれにしても、リンをはじめハク、釜爺、ススワタリは千尋の味方なのです。