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「坊」という存在

「千と千尋の神隠し」にはたくさんの個性的なキャラが登場してきますが、湯婆婆が異常なまでに可愛がっている「坊」もそのひとりです。坊は赤ちゃんであるにもかかわらず、体は千尋の3~4倍も大きく、丸々と太っています。そればかりか、言葉を話すこともできるし、坊が千尋にしたように一丁前に相手を脅すこともできます。この坊が湯婆婆の実の子供なのか、何かの魔法で姿を変えられているのかは最後まで分かりませんが、この坊はとても象徴的な存在として登場しているように思います。それは、現代社会には充分に大人として認知され、大人として行動しているにもかかわらず、内的には幼児性を脱却していない大人達のことです。ようするに、甘ったれの、いつまでたっても精神的に自立できない大人が多くなっているということです。これは日本が、第2次世界大戦後、国家として自立できていないことにも大いに関係があるのかもしれません。アメリカの傘下でぬくぬくと育ってきた代償とも言えるでしょう。これは、まさに湯婆婆の保護下で体だけは大きく育った坊とリンクして思えてきます。日本男児は経済的発展の中で精神的にはずっと自立できずにいるのです。わがままで、甘えん坊で、困った時には泣くだけの存在、それでいざという時には湯婆婆が助けてくれるという卑小なしたたかさだけは持っています。それが「坊」なのです。これは宮崎駿さんが自立できない日本男児を、思いっきり皮肉った存在なのかもしれません。

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